ただのごった煮サイト。
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別冊設定だけど内容をほとんど憶えてないので違和感があるやもです
ご了承ください
ご了承ください
うららかな昼下がり、食後の一杯にとコーヒーを淹れていると、後ろから片づけが終わったらしい郁が抱きついてきた。
「教官、笠原終わりました!」
姓を変えて久しい彼女があえて旧姓を名乗ったのは呼び名に合わせたのだろうと堂上は振り返る。ポットを置いて頭を撫でてやれば郁は嬉しそうに擦り寄ってきた。
「ほら、コーヒー淹れたから退け」
「はあい」
郁は素直に離れるとコーヒーを運ぶ堂上の後ろをひな鳥のようについて行き、おとなしく向かいの席に座った。いただきますとコーヒーをすする。
「ね、ね、どうでした?昔を思い出しません?」
「何のことだ?」
「だーかーらー、教官って」
相変わらずの乙女思考回路を保有する郁は、呼び名一つにもロマンスを求めているらしい。堂上がコーヒーを飲みながら「お前が王子様とやらを追っていた頃のことか」と言うと郁は顔を赤くして「それを言うのはなしです!」と叫んだ。この話は堂上にとっても墓穴を掘りかねないので深く追求するのは止め、ふて腐れる郁に「というか」と声をかける。郁はまだ少し赤い顔をしたまま、なんですかと堂上に視線をよこした。
「お前、してるときたまに言ってるぞ、それ」
「へ?してるときって、何をですか?」
カマトトかと怒鳴りそうになるのを堂上がこらえていると、遅れて意味に気付いた郁が先ほどよりもさらに顔を真っ赤にして「うそ!」と悲鳴を上げた。
「嘘なわけあるかこのアホ!教え子や部下に手を出してるみたいで気が引けるからよせとあれほど言ったのにお前は……っ」
「だ、だってそんな、あたし憶えてないです!っていうかそれ事実じゃないですか!?」
「手を出されない方が良かったのか!?」
「うっ……」
すでに結婚してまで今さら何を言っているんだと堂上も思ったが、売り言葉に買い言葉でも言ってしまったものはどうにもならず、郁の反応を待つハメになってしまった。もしも泣かれてしまったらどうしようか。ここまで来てこじれたくは無いし、先に折れておくか。そんなことを考えていると郁から先手を打たれた。
「……やです……」
「郁?」
うつむいてコーヒーカップを両手ですがるように握り、先ほどまでの言い合いが嘘みたいに小さな声で郁はぼそぼそと呟く。髪の間から覗く耳が赤い。
「……手、出してくれなきゃ、いやです……」
(こいつは……!)
堂上は手荒く席を立つと郁の腕をつかんで抱き寄せた。どうしてここで可愛くなるんだ!
「あ、篤さ……んんっ」
乱暴に口内を蹂躙すると郁の体から力が抜けていく。ふらつく郁を支えながら、この奥さんはいったいいつになったら落ち着いてくれるんだろうと二重の意味で堂上は悩んでいた。浮かれているのは自分の方なんだろうが。
「……手を出して欲しかったんだろ?」
「篤さん!」
「ちょうどいい。教官呼びも憶えてないのなら今から思い出させてやる」
「え、ちょ、まだ昼中ですよ!?待っ……」
あっと言う間に寝室に攫われ、机の上にはすっかりぬるくなったコーヒーが二つ置いていかれていた。
劇場版観ました記念
「教官、笠原終わりました!」
姓を変えて久しい彼女があえて旧姓を名乗ったのは呼び名に合わせたのだろうと堂上は振り返る。ポットを置いて頭を撫でてやれば郁は嬉しそうに擦り寄ってきた。
「ほら、コーヒー淹れたから退け」
「はあい」
郁は素直に離れるとコーヒーを運ぶ堂上の後ろをひな鳥のようについて行き、おとなしく向かいの席に座った。いただきますとコーヒーをすする。
「ね、ね、どうでした?昔を思い出しません?」
「何のことだ?」
「だーかーらー、教官って」
相変わらずの乙女思考回路を保有する郁は、呼び名一つにもロマンスを求めているらしい。堂上がコーヒーを飲みながら「お前が王子様とやらを追っていた頃のことか」と言うと郁は顔を赤くして「それを言うのはなしです!」と叫んだ。この話は堂上にとっても墓穴を掘りかねないので深く追求するのは止め、ふて腐れる郁に「というか」と声をかける。郁はまだ少し赤い顔をしたまま、なんですかと堂上に視線をよこした。
「お前、してるときたまに言ってるぞ、それ」
「へ?してるときって、何をですか?」
カマトトかと怒鳴りそうになるのを堂上がこらえていると、遅れて意味に気付いた郁が先ほどよりもさらに顔を真っ赤にして「うそ!」と悲鳴を上げた。
「嘘なわけあるかこのアホ!教え子や部下に手を出してるみたいで気が引けるからよせとあれほど言ったのにお前は……っ」
「だ、だってそんな、あたし憶えてないです!っていうかそれ事実じゃないですか!?」
「手を出されない方が良かったのか!?」
「うっ……」
すでに結婚してまで今さら何を言っているんだと堂上も思ったが、売り言葉に買い言葉でも言ってしまったものはどうにもならず、郁の反応を待つハメになってしまった。もしも泣かれてしまったらどうしようか。ここまで来てこじれたくは無いし、先に折れておくか。そんなことを考えていると郁から先手を打たれた。
「……やです……」
「郁?」
うつむいてコーヒーカップを両手ですがるように握り、先ほどまでの言い合いが嘘みたいに小さな声で郁はぼそぼそと呟く。髪の間から覗く耳が赤い。
「……手、出してくれなきゃ、いやです……」
(こいつは……!)
堂上は手荒く席を立つと郁の腕をつかんで抱き寄せた。どうしてここで可愛くなるんだ!
「あ、篤さ……んんっ」
乱暴に口内を蹂躙すると郁の体から力が抜けていく。ふらつく郁を支えながら、この奥さんはいったいいつになったら落ち着いてくれるんだろうと二重の意味で堂上は悩んでいた。浮かれているのは自分の方なんだろうが。
「……手を出して欲しかったんだろ?」
「篤さん!」
「ちょうどいい。教官呼びも憶えてないのなら今から思い出させてやる」
「え、ちょ、まだ昼中ですよ!?待っ……」
あっと言う間に寝室に攫われ、机の上にはすっかりぬるくなったコーヒーが二つ置いていかれていた。
劇場版観ました記念
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