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※TOD2はリオンの夢でした、という話
ざあんとすぐ側で大きな波が打ち寄せ、その音で僕は意識を取り戻した。
(ここは……)
『おや、おはようございます、坊ちゃん』
懐かしい声が右手から響く。視線を落とせば何度も握ってきた愛剣がそこにあった。
「シャル……?」
おかしい、確か僕は暴走する神の眼を止めるために、こいつを刺してきたはずだ。別れの言葉を口にして、スタンたちと同様に……。
いや、僕は何を勘違いしているんだ。スタンたちとはつい先ほどまで戦っていたはずではないか。やつらが神の眼にたどり着くにはまだかかるだろうし、だいたいあいつらがこの先どうするのかなんて知らないはずだ。
しかしあいつらはこの先、ソーディアンを神の眼に刺して、ダイクロフトを止めて、英雄と称えられ、スタンとルーティは結婚し、カイルという名の子供を生む。そいつはスタンそっくりの容貌で、ねぼすけで……?
『何か、良い夢でも見てたんですか?』
「夢?」
『はい。坊ちゃん、寝ながら満足そうな顔してましたよ』
「夢か……そうだな、幸せな夢を見ていたよ」
シャルのコアクリスタルが穏やかに光る。夢の中でお前にも会ったよ。ソーディアンチームの中で肩身狭そうにしていた。僕に言わせれば少佐も十分に高い地位だと思うんだが、当時は違ったのか?チームに入れられるほど、お前は買われていたんだぞ。
『そんなに良い夢だったなら、二度寝したらどうですか?夢の続きが見られるかもしれませんよ』
ざぶんと波が押し寄せて、僕の足は完全に水の中だった。どんどん海にのまれる自分を意識しないで済むようにとそう言ってくれたのだろう。僕は「そうだな」と言ってシャルを鞘に収めた。
幸せな夢だった。最低な自己満足の夢だった。あの夢の続きを見ることは出来まい。それはこの世界が迎える、本当の未来だ。僕は目を閉じて、姉の幸せを祈った。今度はあなたが幸せになる番だ。夢の中でさえあなたを幸せにしきることは出来なかったけれど、それはあの男が、スタンがしてくれるだろうから。
「さよなら」
僕の運命はここで終わりだ。続きもやり直しも必要ないけれど、それでも一応あの夢には感謝しよう。人騒がせな聖女と神にでも。
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