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一ノ姫派な柊さんの悔恨(柊ED後)
(※記憶で書いているので口調・設定等間違っている可能性があります)

 寝台に広がる金糸を一房掬うと、彼女は微笑みながら不思議そうに私を見た。私も微笑みを返し、彼女の御髪を手放す。これまで視てきた夢には無かった姿だ。未来は変わったのだと思い知らされる。
 我が君はその御手で私の眼帯に触れると、私の手の下、つぶれた喉で、かすれた声を発せられた。
「かなしい夢をみたのね、柊」
 我が君に向かって私の涙が落ちる。ちょうど彼女の頬を伝う形になって、まるで我が君が涙をこぼしているようだった。彼女は慈愛に満ちた笑みを浮かべているというのに。
「わ、が、きみ……」
 それはあの日、黒き龍、あるいはアカシャが私に施した呪いであり、戒めであり、罰だった。私が運命を覆そうとしなければ、大切な友人たちをあんな形で喪うことはなかったのだという、途方も無い後悔。詮無きことと分かっているのに、運命を変えた偉大なる神子へ、この醜悪なる嫉妬を抑えることが今回も出来なかった。
 未来をくれた愛しい人。その首は細く、容易く折れてしまいそうだ。
 どうしてこんなか弱き姫が選ばれたのだろう。未来が変えられるならもっと早くに、貴女の姉をどうして助けてやらないのか。
 夢の中で私たちは笑い、語らい、幸せだった。未来に絶望する私を心から励ましてくれた。夢の中で夢見た。運命に抗えると。彼らは龍の前に散った。私の所為ではないと何度も言い含めて、未来を託した。
 真に優しい者たちだった。とても優れた人たちだった。後に残ったのは愚かな私とこの隻眼だ。何故彼らではなく私が、何故彼らではなく彼女が、こうして生きているのだろう。
 悔しさが我が君の首を絞める。彼女は苦しげに息を吐きつつもその笑みを消すことはしなかった。
「自分勝手で、ごめんね」
 我が君の頬が濡れる。狭量な私は未だに彼女を許すことができない。どんなに愛しく思おうと、異なる時空で命を引き換えにしようと、選ばれた二ノ姫が恨めしくて仕方ないのだ。
 どうして私までもが彼女を選んでしまうのかと。

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