オリジナル（メモ）

カミサマの話

「そうだ、思い出したよ」
急にぽん、と手のひらを叩いて創造主はにっこり笑った。
「思い出したって、何を」
私の思考を読み取るかのように（いや、この場合は誰もが思うのかも）
カミサマは呆れたように尋ねた。
「はじまり。ぼくの始まりを思い出したんだよ」
そう言って気を集めるように手のひらを出した。
すると淡く光り、キューブが浮かび上がる。
中は薄暗く、ところどころ光っていた。
それを伸ばすように両腕を離し、空間を広げる。
そのまま私たちをすっぽりと飲み込み、現れたのは洞窟。
周りを見ると同じようなものがいくつかある。
「ここの文明はあまり発達していなかった。もしくは衰退した結果かな」
洞窟の中へと足をすすめる創造主に慌ててついていく。
「人々は君の言う縄文時代のような暮らしをしていたよ」
中に入ると床に子供が寝そべり、親が隣で頭を撫でていた。
「だから当然医療なんて発達どころかそのものが無くて」
よく見ると親は涙目で、子供は荒い息を吐いている。
「想像がつくだろう？あの子は早々に死んだ」
「･･･っ」
「その直前にね。あのこは笑ったんだよ」
あしたは晴れますように
何てささやかで、しあわせで、やさしい祈り。
ぼくはその想いから作られ、あの子の身体をもらってこの状態で居る。

世界は優しくなるはずだよ